特例有限会社と株式会社の比較

はじめに

 以下では、特例有限会社と株式会社の主な違いについてご説明いたします。両社の違いをすべて網羅しているわけではありませんので、あらかじめご了承ください。
 なお、ひとくちに株式会社といってもその機関構成は様々で、例えば、取締役会を置く株式会社(取締役会設置会社)もあれば、置いていない株式会社もあります。そして、会社法には取締役設置会社であるがゆえに従わなければならないルールも規定されています。そうすると、同じ株式会社であっても取締役会設置会社か否かで従うべきルールが異なることになります。
 この記事は、「特例有限会社」と「株式会社」のルールの違いについて説明することに主眼を置いています。ですので、株式会社の中でも、例えば「取締役会設置会社」や「監査等委員会設置会社」等であるがゆえに従うべきルールなどについては触れないようにしていますので、あらかじめご了承ください。

商号

特例有限会社

その商号中に「有限会社」という文字を用いなければなりません。

会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、「整備法」といいます。)
第二条 前条第三号の規定による廃止前の有限会社法(以下「旧有限会社法」という。)の規定による有限会社であってこの法律の施行の際現に存するもの(以下「旧有限会社」という。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後は、この節の定めるところにより、会社法(平成十七年法律第八十六号)の規定による株式会社として存続するものとする。

第三条 前条第一項の規定により存続する株式会社は、会社法第六条第二項の規定にかかわらず、その商号中に有限会社という文字を用いなければならない。

株式会社

株式会社は、その商号中に「株式会社」という文字を用いなければなりません。

会社法
第六条 
 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。

登記

取締役

特例有限会社

取締役の氏名及び住所を登記しなければならない

整備法
第四十三条 特例有限会社の登記については、会社法第九百十一条第三項第十三号中「氏名」とあるのは「氏名及び住所」と、同項第十四号中「氏名及び住所」とあるのは「氏名(特例有限会社を代表しない取締役がある場合に限る。)」と、同項第十七号中「その旨及び次に掲げる事項」とあるのは「監査役の氏名及び住所」とする。

株式会社
  • 取締役は氏名のみ登記すればよい
  • 代表取締役は氏名及び住所を登記しなければならない

会社法
第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 十三 取締役(監査等委員会設置会社の取締役を除く。)の氏名
 十四 代表取締役の氏名及び住所(第二十三号に規定する場合を除く。)

監査役

特例有限会社

監査役を置く場合には、監査役の氏名及び住所を登記しなければならない

整備法
第四十三条 特例有限会社の登記については、会社法第九百十一条第三項第十三号中「氏名」とあるのは「氏名及び住所」と、同項第十四号中「氏名及び住所」とあるのは「氏名(特例有限会社を代表しない取締役がある場合に限る。)」と、同項第十七号中「その旨及び次に掲げる事項」とあるのは「監査役の氏名及び住所」とする。

株式会社

監査役を置く場合でも、監査役は氏名のみ登記すればよい

会社法
第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 十七 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び次に掲げる事項 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは、その旨 監査役の氏名

清算人

特例有限会社

清算人の氏名及び住所を登記しなければならない

整備法
第四十三条 

 特例有限会社の清算人の登記については、会社法第九百二十八条第一項第一号中「氏名」とあるのは「氏名及び住所」と、同項第二号中「氏名及び住所」とあるのは「氏名(特例有限会社を代表しない清算人がある場合に限る。)」とする。

株式会社
  • 清算人は氏名のみ登記すればよい
  • 代表清算人は氏名及び住所を登記しなければならない

会社法
第九百二十八条 第四百七十八条第一項第一号に掲げる者が清算株式会社の清算人となったときは、解散の日から二週間以内に、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければならない。
  清算人の氏名
  代表清算人の氏名及び住所

株式

株式の譲渡

特例有限会社

 特例有限会社の定款には、「その発行する全部の株式の内容として当該株式を譲渡により取得することについて当該特例有限会社の承認を要する旨」及び「当該特例有限会社の株主が当該株式を譲渡により取得する場合においては当該特例有限会社が会社法第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなす旨」の定めがあるものとみなされます。
 特例有限会社は、その発行する全部又は一部の株式の内容として前項の定めと異なる内容の定めを設ける定款の変更をすることができません

整備法
第九条 特例有限会社の定款には、その発行する全部の株式の内容として当該株式を譲渡により取得することについて当該特例有限会社の承認を要する旨及び当該特例有限会社の株主が当該株式を譲渡により取得する場合においては当該特例有限会社が会社法第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなす旨の定めがあるものとみなす。
 特例有限会社は、その発行する全部又は一部の株式の内容として前項の定めと異なる内容の定めを設ける定款の変更をすることができない。

会社法
第百三十六条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

第百三十七条 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

男性弁護士
男性弁護士

特例有限会社の株式は、すべて譲渡制限株式であって、これを譲渡により取得する場合には当該有限会社の承認が必要です。
ただし、例外があって、当該特例有限会社の既存の株主が当該特例有限会社の株式の譲渡を受ける場合、当該有限会社の承認は不要です。

株式会社

株式会社は、全部又は一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要することを定めることができます。
このような定めをするときには、一定の事項について、定款で定めなければなりません。
「当該株式会社の承認を要することを定めることができる」というだけなので、もちろん、定めないという選択もできます。

会社法
第百七条 株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
  譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
 株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。
  譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 次に掲げる事項
   当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨
   一定の場合においては株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合

第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
 株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項

男性弁護士
男性弁護士

株式会社の場合は、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要することを定めることが「できる」というだけです。
したがって、承諾を要する旨の定款の定めを廃止することも可能です。
この定めを廃止することで、その株式会社は会社法上の「公開会社」となります。「公開会社」の定義は会社法2条5号に定められています。

会社法
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

少数株主権

少数株主権とは、一定の議決権数、総株主の議決権の一定割合または発行済み株式の一定割合を有する株主のみが行使できるものです。
複数株主の共同によって法定株式数を満たすことも可能です。
以下では、どのような権利行使について、どのような要件の違いがあるかを比較しています。

株主による株主総会の招集の請求

特例有限会社

総株主の議決権の十分の一以上を有する株主

整備法
第十四条 特例有限会社の総株主の議決権の十分の一以上を有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

株式会社

総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
ただし、公開会社の場合は、「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」という要件が加わる

会社法
第二百九十七条 総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

業務の執行に関する検査役の選任

特例有限会社

総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主

整備法
第二十三条 特例有限会社の業務の執行に関する検査役の選任については、会社法第三百五十八条第一項中「次に掲げる株主」とあるのは、「総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主」とする。

株式会社
  • 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主、又は
  • 発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主

会社法
第三百五十八条 株式会社の業務の執行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを疑うに足りる事由があるときは、次に掲げる株主は、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
  総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
  発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主

会計帳簿の閲覧等の請求

特例有限会社

総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主

整備法
第二十六条 特例有限会社の会計帳簿の閲覧等の請求については、会社法第四百三十三条第一項中「総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主」とあるのは「総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主」と、同条第三項中「親会社社員」とあるのは「親会社社員であって当該親会社の総株主の議決権の十分の一以上を有するもの」とする。

株式会社
  • 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主、又は
  • 発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主

第四百三十三条 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
  会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
  会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

清算人の解任

特例有限会社

各株主が裁判所に申立てをすることができる

整備法
第三十三条
 清算株式会社である特例有限会社の清算人の解任については、会社法第四百七十九条第二項各号列記以外の部分中「次に掲げる株主」とあるのは、「株主」とする。

株式会社
  • 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主(清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主及び当該申立てに係る清算人である株主を除く)
  • 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主(当該清算株式会社である株主及び当該申立てに係る清算人である株主を除く)

    ただし、公開会社の場合は「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」という要件が加わる

会社法
第四百七十九条 
 重要な事由があるときは、裁判所は、次に掲げる株主の申立てにより、清算人を解任することができる。
  総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
   清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
  ロ 当該申立てに係る清算人である株主
  発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
   当該清算株式会社である株主
   当該申立てに係る清算人である株主
 公開会社でない清算株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

役員の解任の訴え

特例有限会社

総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主

整備法
第三十九条 特例有限会社の役員の解任の訴えについては、会社法第八百五十四条第一項各号列記以外の部分中「次に掲げる株主」とあるのは、「総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主」とする。

株式会社
  • 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主(当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主及び当該請求に係る役員である株主を除く)、又は
  • 発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主(当該株式会社である株主及び当該請求に係る役員である株主を除く)

    ただし、公開会社の場合は「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」という要件が加わる

会社法
第八百五十四条 役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
  総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
   当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
  ロ 当該請求に係る役員である株主
  発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
  当該株式会社である株主
  当該請求に係る役員である株主
 公開会社でない株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。

種類株式に関する少数株主権の行使制限

特例有限会社

「株主総会において議決権を行使することができる事項」について定めがある種類の株式に関し、その株式を有する株主が総株主の議決権の十分の一以上を有する株主の権利の行使についての規定の全部又は一部の適用については議決権を有しないものとする旨を定款で定めることができる。
その結果、当該株主は、当該少数株主権を行使することができなくなる。

整備法
第十四条
 特例有限会社は、会社法第百八条第一項第三号に掲げる事項についての定めがある種類の株式に関し、その株式を有する株主が総株主の議決権の十分の一以上を有する株主の権利の行使についての規定の全部又は一部の適用については議決権を有しないものとする旨を定款で定めることができる。

会社法
第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
 三 株主総会において議決権を行使することができる事項

株式会社

このような制限はない

機関

株主総会

株主総会の特別決議

特例有限会社

総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって行わなければならない

整備法
第十四条
 特例有限会社の株主総会の決議については、会社法第三百九条第二項中「当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二」とあるのは、「総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の四分の三」とする。

株式会社

当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない

会社法
第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

株主総会に関する一部の規定が適用されない

特例有限会社

株式会社の株主総会に関する一部の規定(会社法第297条及び第301条から307条)が適用されません。

整備法
第十四条
 特例有限会社については、会社法第二百九十七条及び第三百一条から第三百七条までの規定は、適用しない。

会社法
(株主による招集の請求)
第二百九十七条 総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
 第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
 次に掲げる場合には、第一項の規定による請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる。
  第一項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
  第一項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合

(株主総会参考書類及び議決権行使書面の交付等)
第三百一条 取締役は、第二百九十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この款において「株主総会参考書類」という。)及び株主が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
 取締役は、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による株主総会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、株主の請求があったときは、これらの書類を当該株主に交付しなければならない。

第三百二条 取締役は、第二百九十八条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、株主総会参考書類を交付しなければならない。
 取締役は、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による株主総会参考書類の交付に代えて、当該株主総会参考書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、株主の請求があったときは、株主総会参考書類を当該株主に交付しなければならない。
 取締役は、第一項に規定する場合には、第二百九十九条第三項の承諾をした株主に対する同項の電磁的方法による通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権行使書面に記載すべき事項を当該電磁的方法により提供しなければならない。
 取締役は、第一項に規定する場合において、第二百九十九条第三項の承諾をしていない株主から株主総会の日の一週間前までに議決権行使書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の請求があったときは、法務省令で定めるところにより、直ちに、当該株主に対し、当該事項を電磁的方法により提供しなければならない。

(株主提案権)
第三百三条 株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
 公開会社でない取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
 第二項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。

第三百四条 株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない。

第三百五条 株主は、取締役に対し、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知すること(第二百九十九条第二項又は第三項の通知をする場合にあっては、その通知に記載し、又は記録すること)を請求することができる。ただし、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、当該請求をすることができる。
 公開会社でない取締役会設置会社における前項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
 第一項の株主総会の目的である事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項ただし書の総株主の議決権の数に算入しない。
 取締役会設置会社の株主が第一項の規定による請求をする場合において、当該株主が提出しようとする議案の数が十を超えるときは、前三項の規定は、十を超える数に相当することとなる数の議案については、適用しない。この場合において、当該株主が提出しようとする次の各号に掲げる議案の数については、当該各号に定めるところによる。
 一 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人(次号において「役員等」という。)の選任に関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
  役員等の解任に関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
  会計監査人を再任しないことに関する議案 当該議案の数にかかわらず、これを一の議案とみなす。
 四 定款の変更に関する二以上の議案 当該二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合には、これらを一の議案とみなす。
 前項前段の十を超える数に相当することとなる数の議案は、取締役がこれを定める。ただし、第一項の規定による請求をした株主が当該請求と併せて当該株主が提出しようとする二以上の議案の全部又は一部につき議案相互間の優先順位を定めている場合には、取締役は、当該優先順位に従い、これを定めるものとする。
 第一項から第三項までの規定は、第一項の議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合には、適用しない。(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任)

第三百六条 株式会社又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができる。
 公開会社である取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」と、「有する」とあるのは「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とし、公開会社でない取締役会設置会社における同項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」とする。
 前二項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
 第三項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第三項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。
 第三項の検査役は、第五項の報告をしたときは、株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては、当該株式会社及びその者)に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。(裁判所による株主総会招集等の決定)

第三百七条 裁判所は、前条第五項の報告があった場合において、必要があると認めるときは、取締役に対し、次に掲げる措置の全部又は一部を命じなければならない。
  一定の期間内に株主総会を招集すること。
  前条第五項の調査の結果を株主に通知すること。
 裁判所が前項第一号に掲げる措置を命じた場合には、取締役は、前条第五項の報告の内容を同号の株主総会において開示しなければならない。
 前項に規定する場合には、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)は、前条第五項の報告の内容を調査し、その結果を第一項第一号の株主総会に報告しなければならない。

株主総会以外の機関

株主総会以外の機関の設置

特例有限会社
  • 取締役
  • 監査役(設置するか否かは任意・監査役の権限は会計監査権限のみ)

整備法
第十七条 特例有限会社の株主総会以外の機関の設置については、会社法第三百二十六条第二項中「取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等」とあるのは、「監査役」とする。

第二十四条 監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社の定款には、会社法第三百八十九条第一項の規定による定めがあるものとみなす。

第三百八十九条 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

株式会社

・取締役
定款の定めによって以下の機関を設置できる
・取締役会
・会計参与
・監査役
・監査役会
・会計監査人
・監査等委員会
・指名委員会等

第三百二十六条 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。

取締役

取締役の任期
特例有限会社

制限はない

整備法
第十八条 特例有限会社については、会社法第三百三十二条、第三百三十六条及び第三百四十三条の規定は、適用しない。

株式会社

 選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。
 公開会社の場合は、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することはできるが、伸ばすことはできない。
 公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)においては、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができる。

会社法
第三百三十二条 取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
 前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
 監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員であるものを除く。)についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
 監査等委員である取締役の任期については、第一項ただし書の規定は、適用しない。
 第一項本文の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査等委員である取締役の補欠として選任された監査等委員である取締役の任期を退任した監査等委員である取締役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
 指名委員会等設置会社の取締役についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
 前各項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
  監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
  監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
  その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社がするものを除く。)

取締役の業務
特例有限会社

会社法348条3項は、株式会社の取締役が一定の事項についての決定を各取締役に委任することができないと規定するが、特例有限会社にはそのような制限がない。

整備法
第二十一条 特例有限会社については、会社法第三百四十八条第三項及び第四項並びに第三百五十七条の規定は、適用しない。

株式会社

会社法348条3項各号に規定された事項についての決定を各取締役に委任することができない。

会社法
第三百四十八条
 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
  支配人の選任及び解任
  支店の設置、移転及び廃止
  第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
  取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除

取締役の報告義務
特例有限会社

会社法357条は株式会社の取締役の報告義務について定めるが、特例有限会社の取締役にはそのような義務はない。

整備法
第二十一条 特例有限会社については、会社法第三百四十八条第三項及び第四項並びに第三百五十七条の規定は、適用しない。

株式会社

株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければなりません。

会社法
第三百五十七条 取締役は、株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を株主(監査役設置会社にあっては、監査役)に報告しなければならない。

監査役

監査役の権限
特例有限会社

監査役の権限は会計監査権限のみ

整備法
第二十四条 監査役を置く旨の定款の定めのある特例有限会社の定款には、会社法第三百八十九条第一項の規定による定めがあるものとみなす。

会社法
第三百八十九条 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

株式会社

 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、その監査役の権限を会計監査権限に限定することが可能
 会計監査権限のみならず、業務監査権限を与えると、会社法上は「監査役設置会社」となる(会社法2条9号)。

会社法
第三百八十九条 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。

計算

計算書類の公告

特例有限会社

計算書類の広告をする必要がない

整備法
第二十八条 特例有限会社については、会社法第四百四十条及び第四百四十二条第二項の規定は、適用しない。

株式会社

 定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
 ただし、その公告方法が「官報に掲載する方法」または「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法」である株式会社は、貸借対照表の要旨を公告することで足りる(会社法440条2項)。
 また、公告方法が電子公告でない会社(公告方法が「官報に掲載する方法」または「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法」である株式会社)は、公告に代えて、定時株主総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置(インターネット上のウェブサイトに貸借対照表を表示する方法)をとることができる(会社法440条2項)。この場合、当該ウェブサイト(またはその目次ページ等)のアドレスを登記する必要がある。

会社法
第四百四十条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
 前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。
 前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
 金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前三項の規定は、適用しない。

第九百三十九条 会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。
  官報に掲載する方法
  時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  電子公告

第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
 二十七 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め 

会社法施行規則
第二百二十条 次の各号に掲げる規定に規定する法務省令で定めるものは、当該各号に定める行為をするために使用する自動公衆送信装置のうち当該行為をするための用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、記号その他の符号又はこれらの結合であって、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによって当該情報の内容を閲覧し、当該電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録することができるものとする。
  法第九百十一条第三項第二十六号 法第四百四十条第三項の規定による措置

支店における計算書類等の備置き

特例有限会社

会社法442条2項は株式会社の計算書類等の支店における備置きについて定めるが、特例有限会社にはそのような義務はない。

整備法
第二十八条 特例有限会社については、会社法第四百四十条及び第四百四十二条第二項の規定は、適用しない。

株式会社

株式会社は、法定の例外を除き、法定の計算書類等の写しを、法定の期間、その視点に備え置かなければならないこととなっています(会社法442条2項)。

会社法
第四百四十二条 株式会社は、次の各号に掲げるもの(以下この条において「計算書類等」という。)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。
  各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第四百三十六条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。) 定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から五年間
  臨時計算書類(前条第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。) 臨時計算書類を作成した日から五年間
 株式会社は、次の各号に掲げる計算書類等の写しを、当該各号に定める期間、その支店に備え置かなければならない。ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、支店における次項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
  前項第一号に掲げる計算書類等 定時株主総会の日の一週間(取締役会設置会社にあっては、二週間)前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)から三年間
  前項第二号に掲げる計算書類等 同号の臨時計算書類を作成した日から三年間

会社の基礎の変更

特例有限会社
  • 吸収合併をする場合において、吸収合併存続会社となることができない
  • 吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社となることができない
  • 株式交換(他の会社の発行済み株式の全部を取得する行為を含む)をすることができない
  • 株式移転をすることができない

整備法
第三十七条 特例有限会社は、会社法第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は同法第七百五十七条に規定する吸収分割承継会社となることができない。

第三十八条 特例有限会社については、会社法第五編第四章及び第四章の二並びに同編第五章中株式交換、株式移転及び株式交付の手続に係る部分の規定は、適用しない。

会社法
第七百四十九条 会社が吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する会社(以下この編において「吸収合併存続会社」という。)が株式会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。 株式会社である吸収合併存続会社(以下この編において「吸収合併存続株式会社」という。)及び吸収合併により消滅する会社(以下この編において「吸収合併消滅会社」という。)の商号及び住所

第七百五十七条 会社(株式会社又は合同会社に限る。)は、吸収分割をすることができる。この場合においては、当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社(以下この編において「吸収分割承継会社」という。)との間で、吸収分割契約を締結しなければならない。

株式会社

会社法で認められる、吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転を行うことができる

解散・清算

特例有限会社

休眠会社のみなし解散の規定の適用がない。

整備法
第三十二条 特例有限会社については、会社法第四百七十二条の規定は、適用しない。

株式会社

休眠会社のみなし解散の規定が存在する。

会社法
第四百七十二条 休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し二箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その二箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。
 登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。

商業登記法
第七十二条 会社法第四百七十二条第一項本文の規定による解散の登記は、登記官が、職権でしなければならない。


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