労働条件明示義務
条文
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
趣旨
- 労働条件を明確化
- 労働条件に関する労使間交渉を促進
- 契約締結後の紛争を防止
明示の内容
- 労基則5条1項に列挙
明示の方法
- 就業規則の必要的記載事項(労基法89条1号から9号参照)と一致する事項については、就業規則の交付をもって明示義務を果たしたことになると考えられる(注釈労働基準法・労働契約法第1巻245頁、ただし、反対する見解もある)。
明示の時期
- 労働契約の成立(採用)までに履行されるべき(土田道夫・労働契約法第三版288頁)
明示義務違反の効果
- 罰則有り(労基法120条1項)
- 労働者の即時解雇権(労基法15条2項)
- 旅費の負担義務(労基法15条3項)
- 当事者が基本的要素さえ合意していれば労働条件が明示されていなくても労働契約は有効に成立(注釈労働基準法・労働契約法第1巻246頁)
- 履行請求や損害賠償請求についても議論有り(土田道夫・労働契約法第三版290頁以下)